(11/20)大僧正との再会

  今年の3月と4月にBREATHでストラトを使ったとき、突然音が切れたり「あれ?」と思うことが続いたので、それ以来ライブでは使うのを控えていた。6月に、いつもお願いしている工房にメールしたら「持ってきていただければ見ますよ。」と返事が帰ってきた。ちょうどその後ぐらいから、夏が終わるまでコロナの感染者数がアホほど増えてしまっていたので、何となく出かけないでいたんだけど、10月以降ようやく落ち着いてきた感じなので、今週やっと持って行った。記録を見る限りでは13年ぶり。ここに書くのは、このとき以来20年ぶりかなぁ?どうだろう。。。あ、ここでもちょっと書いてるか。

  この13年の間に、オヤジさん、すっかり有名人になってしまった。ギターマガジンにはもともとコラムを執筆していたということもあって、大きな写真付きで記事が載ることも増えているし、オリジナルブランドのギターを有名なバンドが使ったりとか、どんどん大変なことになっている。

  気になるのはやはり、工房を訪ねると毎回きまって行われる、あの禅問答。

  「最終的に貴方はどんな方向へもっていきたいのですか?」

  今回はやはり、この儀式もバージョンアップしていると見るべきだろう。大僧正との禅問答だ。「作麼生(そもさん)!」「説破(せっぱ)!」一休さんかっつーの。

  13年の間に工房の近所はすっかり変わっていて、かなり迷った。いや、一番変わったのは工房そのもので、木造平屋の、70年代の香りを残すいい感じの建物は、何と高層アパートになっていた。一階に大きくお店の看板。これには驚いた。約束の時間に10分ほど遅刻して中に入ると「ちょっと今、切りが悪いみたいで。。。」とスタッフの方。大丈夫。そんなことは先刻承知ですから。。。

  13年ぶりの大僧正。日本ギタークラフト界の重鎮だからギター雑誌に近影も載っているのでだいたい想像どおりだが、やはり少し時が経ったと感じる。でもありがたいことに、変わらず丁寧に接してくださった。やおら開始される禅問答。フレットから始まり、ピックガード、ネジ、ジャック、そしてブリッジなどなど。それぞれのパーツに関して「あなたはどうしたいのか?」「通常はこうするが、必ずしもそれが正解とは限らない。あなたはどうお考えか?」

  決して「お金は払うんで、まぁいい感じで、うまい具合にやっといてくださいよー。」なんて絶対に言えない雰囲気だ。ネジ一本に関してだって、そんなこと言えない。

  ブリッジの話。ストラトだから、当たり前だけどシンクロアームがついてる。でも俺はシンクロアーム、使わないので外してる。振り返れば、ギタースクールのとき「アームはなるべく使わずに弦のテンションを左手の指先に感じながら音程をコントロールしなさい。」的なことを言われてから、馬鹿正直にその通りやってるのでずーっと使ってない。それより前はフロイドローズだったからなぁ。エディ、ヴァイ、そしてブラッド・ギルス、この3人に憧れたら、そりゃあフロイドローズでしょう。シンクロアームなんてあんまり使う気になんないよなぁ。。。

  ここで大僧正「ブリッジはベタ付けですね。アームダウンは、しますか?それとも全くアームダウンしないセッティングにしますか?」

  「え、あ、いや、その。。。まぁ、しないんですけど。。。アームダウンしてもしなくても、ベタ付けというのは一緒だと思うんですけど。。。」

  これを聞いて大僧正の顔色が少し変わる。「そんなことわざわざ説明させるのかお前は」的な。しまったと思ってももう遅い。

  「もしアームダウンするとすれば、弦のテンションが急に緩んだときでもなるべくブリッジやサドルが影響を受けないようにあらかじめセッティングしておく必要があります。」

  えー。。。あ。。。確かにおっしゃるとおりでございます。全くそのとおりでございますお代官様、いえ、ツバサ大僧正。ってそれは仮面ライダーV3だけど。

  怖かった。じつに。この洗礼を受けると「ギターのこと、まだ全然知らねぇなーオレ。」という気分になる。

  禅問答を一通り終え、ギターを預けて帰ってきた。ストラトのチューンアップが完了するのがいつか、ちょっと見当がつかないが、早くても3ヶ月はかかるはずだ。出来上がったのを取りに行くときも、やっぱり緊張するんだよなー。とりあえず、よろしくお願いしまーす。



(11/1)'bout Eddie #2

  ヴァン・ヘイレン兄弟の父親はオランダ人。母親はインドネシア人。それは、わりと知られていることだったと思う。エディーが亡くなった後、そのことから推測できることが、幾つかあった。インドネシア、かつてはオランダの植民地だったんだ。。。YouTubeの動画で見たけど、兄貴のアルもエディーも、オランダ語はもちろんネイティブ。子供の頃、LA郊外のパサディナに移るまでは、オランダに住んでいたんだから。オランダで"Van Halen"さん(ファン・ハーレンさん)は、わりとよくある苗字だと、オランダ語の教本で読んだ覚えがある。

  父親のJan Van Halen (ヤン・ファン・ハーレンさん)は管楽器奏者。6thアルバム"Diver Down"収録の"Big Bad Bill (is Sweet William Now)"でクラリネットを演奏している。1984が出た後のヤングギターかなんかでエディーが「今親父にサックス習ってんだ。映画やドラマでセクシーなシーンになると決まってサックスが流れるだろ。あれをやりたい。」と答えているのを読んだことがあった。 父親とエディーの関係、これは大きく彼の音楽性に影響したのだと思う。「親父はジャズとクラシックが大好きだったんだ。」これも死後、複数のウェブサイトで語られている。

  オランダ国内では音楽だけで生活するのが難しかったので、渡米したと、いくつかのウェブサイトにあった。ヨーロッパ出身であること、また、生活の困窮により渡米したこと。もちろんパサディナでの暮らしも、楽なものではなかったと推測できる。これらのことは、エディーの人格に大きく影響した、んじゃないかなぁ多分。



(11/1)霜月

  それなりに、寒くなったなぁ。懐具合が?



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エセRockerの独白